街路樹。東京都心などでは街の雰囲気に合わせてちょっと珍しい木が使われている場合がある。しかし近所のものはよく見るタイプで名前すら知らなかった。当たり前すぎて興味を引かなかったためだ。初夏に高いところで白い花が咲き、足元に散り敷いた花と羽状複葉からマメ科であることは推察できた。ニセアカシアにも似ているし、何かなと思っていた。
最近莢がくびれて数珠玉状の実ができているのを発見した。画像の右下の方だが、私のデジカメのズームではこのぐらいが限界だ。並木で実がついていたのはこの木だけで、何故か花穂まで付いている。改めて調べてみると木の名前はエンジュで、やはりマメ科であった。丈夫で大気汚染に強く、樹高は15mほどになるが伸びすぎないため街路樹に使われている。よく手入れされており刈り込まれて独特の樹形になっている。
中国原産で、漢字で「槐」と書く。木へんに鬼だ。中国名も「槐(ファイ)」。中国では尊貴の木として宮廷に植えられた。仏教伝来の頃に渡来した。同じ街路樹でも、日本在来のケヤキなどと違って樹形などに少し違う美的センスを感じる。
エンジュは「延壽(長生き)」に通じ縁起が良いとされる。いかにも漢語っぽい響きだ。しかし、在来種のイヌエンジュを古くは「えにす」と言い、それが混同され訛ったとのこと。