夏草の中で目立つのはイネ科とカヤツリグサ科の植物である。どちらも縦にスジがある長い葉を持ち(単子葉)、花びらの無い花を付ける。日なたを好み、畑の雑草として猛暑の下で盛大に繁茂している。ちょっと目を離すとこいつらがはびこって困らされる。
カヤツリグサの草丈は30㎝ぐらい。地面に数枚の葉を広げて長い茎を伸ばし先端に花穂と長い葉(苞葉)を放射状に付ける。花穂は2,3回枝分かれして、鱗片状の花が房になっている。全体に緑色だが花は中央が茶色っぽい。上下逆だが、線香花火が枝分かれしながら放射状に広がるのと似ている。画像のように上から見ると独特の対称性のある形が印象深い。
茎は断面が三角形で、強靭な繊維が通っている。子供の頃、茎を折り取って遊んだ。両端を二人で持ち両側から繊維に沿って二つに割く。面がそろってしまうとパラっと2本に分かれるだけだ。しかしうまく直交した面で割くことができると、一瞬できれいな長方形ができる。これが昔蚊をよけるために室内につるされたカヤ(蚊帳)に似ていることが、カヤツリグサ(蚊帳吊り草)の名前の由来である。
日本の本州以南および中国・朝鮮に分布する。近縁種は多く皆特徴が似ている。画像のものはもっとも普通の種類と思う。以前紹介したハマスゲも仲間である。