八王子市の多摩美術大学の近く、ある企業の周囲の植栽がクチナシであった。甘い香りと純白の大きな花が目立っている。まるで白いバラだ。葉の色が映ったのか少し緑がかって独特の感じである。
知る人は知っているが、皆ユーミン(松任谷由実さん)と関係がある。出身地と母校、そして永遠の名曲「やさしさに包まれたなら」である。曲の歌詞に「雨上がりの庭で、クチナシの香りの…」とある。ジブリ映画の主題歌にもなったのでご存じの方も多いであろう。
アカネ科の常緑の低木。沈丁花、金木犀と並ぶ日本三大香木である。花期は6-7月。そのため曲の時期は今頃と思われる。いや、梅雨が明けた真夏の始まりの雰囲気も良いが、少し前の梅雨の晴れ間の、明るいがひんやりとした空気もなかなか良い。おそらく後者だろう。
普通種は花弁が6枚で、花後は独特の形をしたオレンジ色の実になる。名前の由来は、実が熟しても裂けて種が出てこないので、口が無い→クチナシとなった、など色々な説がある。八重咲きの花は雄シベが花びらに変わっているので実はできない。