夏草の中に径2㎝ぐらいの黄色い小さな花が数輪かたまって咲いている。梅雨の晴れ間でまだ水滴が残っている。朝開いて夕方萎む一日花で、ツボミがたくさん用意されている。
漢字で「弟切草」と書く。穏やかではない。由来は、この草から作られる薬の秘密を弟が漏らしたために、兄が怒って切(斬)り殺したという伝承による。凄惨な話だ。ただし、雑木林の林縁など明るい所で見るとスッキリとした黄色である。暗い印象はない。
遠目にはキク科かキンポウゲ科に似ている。よく見るといろいろと変わっている。一番の特徴は全草に毛がなく、細かい黒い点や線(油点という)が見られること。画像ではツボミに顕著だが、花びらにも見られる。昔の人は黒い点や線に禍々(まがまが)しいものを感じたのかもしれない。
日本各地に自生。草丈は50㎝ぐらいで、対生する葉は角が丸くなった長三角形だ。五弁の花は、雄シベが多く3つの束になっている。バラ科にも見えるが、オトギリソウ科という独自の科を構成している。