今頃花で真っ白になっている少し高い木はだいたいこれだ。少し前ならミズキだった。横に伸びる枝から垂直に花序が伸びて、上向きの花がずらりと並ぶ。画像はたまたま民家の庭にあった小さな木で見たもの。花が大きくなっていく様子が表れている。緑色の水の中からクラゲのような生物が浮かび上がってくるようで面白い。花びらは最終的に4-5倍に大きくなり、真っ白になる。
ヤマボウシの花はじつは中心の丸い部分である。小さな花が多数集まっており、咲くと黄色くなる。4枚の白い花びらに見えるものは総苞片と呼ばれるもので、花の集合を包むガクのようなものである。
ヤマボウシという名前は、丸い花序を比叡山(ひえいざん)の僧兵の頭、総苞片を白い頭巾に見立てたものという説がある。要するに「山法師(やまほうし)」がなまったものだ。真偽はともかくそう考えると覚えやすい。
ミズキ科の小高木で、本州以南の山地に自生。街中でもよく植えられ、同じ科で近縁のハナミズキが病気に弱いため、最近はこの花に置き換えられることが多い。