花そのものはごく小さくて地味である。拡大すると4枚の花びらは白いが、少し離れると黄緑色に見えるので見過ごしてしまう。「木の花」はそういうものが多い。
初めは何の花かわからなかった。丘陵地の整備された遊歩道沿いでよく出会う。こういう場所は永年の間に人の手が入るもので、何か見どころがある木に違いない。草刈りの時などに残されるのである。
調べると、ニシキギ科のマユミであった。秋に派手な実を鈴なりに付ける。薄いピンクの実が4つに裂けて中の赤い種が現れるものである。ああアレかと思い出す方も多いだろう。紅葉も美しい秋の風物詩だ。雄木と雌木があり、画像のものは、花の中央の雌シベの柱頭が退化して4本の雄シベが目立つので、雄木であろう。
マユミという名は「真弓」と書いて、昔、弓の素材に使われたからとか、実の形から蚕(かいこ)の繭(まゆ)を連想して「繭実」とか、の説がある。