多摩丘陵の谷戸田(やとだ)の林縁に群生していた。平地でも半日陰の道路脇などでよく見かける。花房(はなぶさ)の高さは15㎝くらい。早春の花の中では少し大型で目立つ。個別の花は最初横向きだが、すぐ垂れ下がり萎れてくるので、きれいなものを撮るのが難しい。
花弁は内外に2枚ずつ4枚で筒状になる。外側上部の花弁が袋状になって後ろに突き出している。これは距(きょ)と呼ばれる蜜が溜まる部分である。
先端が唇(くちびる)状で赤紫色が濃く、第一印象はレンゲのようなマメ科かと思った。ところがヒナゲシのイメージからは程遠いが、ケシ科である。そのため有毒成分を含む。葉の形も変わっていて、先端が細かく分かれている。白い斑があり、ちょっとニリンソウに似ている。
ケマン(華鬘)というのは、仏殿や仏具から垂れ下がっている飾りのことである。花の印象が似ているとして名付けられたようだ。近縁で黄花のキケマンは1回見たことがあるが、やや大ぶりの花で充分鑑賞に耐える。