里山公園の一角の陽だまりにリュウノウギクが満開であった。今の時期は、ノコンギクなどが盛りを過ぎ、黄色いヤクシソウとこの花が秋の野菊の季節の最後を飾る。
リュウノウ(龍脳)というのは植物由来の香気成分(ボルネオール)で、ショウノウ(樟脳)に似た清涼感のあるお香のような匂いを持つ。この花はその前に立つだけで馥郁たる香りを感じる。
花は径3.5㎝と野菊の仲間の中では大型で、花弁も太い。一方、葉は小さくて幅2.5㎝ぐらいしかなく茎も細くて華奢。草丈は50㎝ぐらい。全体に頭でっかちな印象だ。
普通の菊(イエギク)に近いように感じるが、原種ではない。家菊の原種は大陸原産の2種類の野生種のかけ合わせで作られたもので、奈良時代に中国から伝わったものとされる。そういえば各地の菊祭りも今頃だ。永年の改良で絢爛豪華な園芸種は見事だが、秋晴れの下で見る野菊もなかなか良いと思う。