真夏の花は、夏草に埋もれるように咲いている小さなものが多い。里山の小道を足元に気を付けて歩くと、先に紹介したキンミズヒキやヤブランなどが目を引く。その中でもっと地味で小さな花を見つけた。
20㎝ぐらいの草に緑の穂が数本出て白い小さな花が1~3個ずつ点々と付いている。拡大すると赤紫色の舌状花に白い星の紋があり、根元に立つ花弁には2本の雄シベが見える。独特の形だ。調べるとキツネノマゴという植物だった。小さすぎて目立たないが、一旦目につくと結構生えていることが分かった。
狐の孫。変な名前はモノの本で読んで以前から知っていた。由来はよくわからないとのことだが、花後に緑の穂が黄色くキツネ色に変わる。白いウブ毛が多くて柔らかそうなことから、狐のシッポに見立てたのだろう。花がごく小さくその孫(マゴ)になったと思われる。
シソ科に似ているがそのままキツネノマゴ科である。この科は日本では少ないが熱帯地方を中心に世界では数千種が知られている。観葉植物などにも多い。
ちなみに南西諸島には類縁のキツネノヒマゴ(曾孫)という花があるそうである。現地の学者がシャレで付けたのか…。あとコギツネソウなんかもありそうだが、検索ではなかった。