ノイバラの開花から約一月、ようやく咲き始めた。日本原産のもう一つのバラの原種がこれだ。花はやや大きくて径3㎝ぐらい、一輪ずつで咲く。葉は複葉で小葉は小さく鋸歯(ギザギザ)が強い。葉にノイバラのような毛がなくツヤツヤしているのがテリハ(照葉)の名の由来だ。
細長く地面を這って伸びる性質があり、世界のバラの品種改良においてつる(蔓)性のDNAを与えたものとされる。要するに「つるバラ」という種類の祖だ。また和風といわれるバラは、薄いピンク色の小さい花をたくさんつけるつるバラが多い。二種類の原種の特徴を反映したものだが、ここでも日本人の好む「カワイイ」が見られる。
場所は多摩丘陵の一角の南向きの斜面の草の中。この花とつややかな葉を見つけると、梅雨入り前の湿ってはいるが爽やかな空気を感じる。