以前冬の多摩丘陵で葉を落とした木の幹が、滑らかで縦に裂けたような模様があり美しいとして紹介したものだ。今は花の時期が終わって葉が広がり、緑が濃くなっている。雌花がちょっとホップを思わせるような緑の翼(よく)がついた果穂になっていた。
カバノキ科で春先に白っぽい花穂(雄花)を大量に垂らす。それをシメ縄などにつけられるジグザグの紙片(紙垂、しで)に見立て、燃えにくくて薪にならず役に立たないということで名前に「イヌ」がついている。
きれいな花が咲くわけでも実がなるわけでもなく地味な印象だ。しかし、20mにもなる高木で、大きく枝を広げた樹形が美しい。シラカシやコナラとともに近場の雑木林を構成する代表的な木である。