多摩丘陵や相模原台地を流れる川は、台地を削って段丘を形成している。段丘の縁は高い崖になっており、その真下を含めて開発が及びにくいため、昔ながらの雑木林が残っている。その林縁の川沿いの道の脇で群落を作っていた。
草丈は1.5mぐらいでがっしりした感じの大型の草本。小さな花の集まった花序(かじょ)も花笠のようで、大きく見ごたえがある。大きな葉は複葉で、ウコギ科のウドに似ているのでハナウドの名がある。ただし、セリの仲間である。
花はよく見ると複数の塊になっており、その周辺のものが大きい。花弁がそれぞれ大きく裂けてⅤ(ブイ)字型をしている。陽を浴びると白く映えて美しい。
木が鬱蒼として薄暗く、水が湧いているような場所である。季節ごとに独特の植物が見られ様相が変わる。今はそのような場所も少なくなったが、これが近場の原風景なのだろう。