野薊。つい1か月前は地面に葉を広げているだけだった。かしのき山公園の里山再現区域は整備されて日当たりがよく、5月の強い陽光を受けて一気に大きくなり花を付ける。独特の花と濃い緑の葉色のためすぐそれとわかる。
日本固有種。日本にアザミの仲間は多いが晩春から咲き始めるのはこれぐらいだ。秋咲きのノハラアザミ(野原薊)と比べると全体に大きくがっしりしている。葉は大きく切れ込み、先のトゲも痛そうだ。
花の径は4‐5㎝、筒状の小花が集まったものである。その下の丸い膨らみは花の子房が入った総苞(そうほう)と呼ばれる部分だ。ここの表面がウロコ状で平滑になっており、粘液でべたつくのが特徴だ。
一つの筒状花をよく調べると、小さな星状の5枚の花弁から少し紫色の濃い筒状の雄シベが突き出し、先に白い花粉が見える。突き出した針のようなものは雌シベだ。虫が触れると雄シベが縮んで花粉を放出し、中の雌シベが突き出す仕組みになっている。雌シベは遅れて成熟して他の花の花粉を受け、自家受粉を避けるそうだ。