多摩丘陵のある神社の薄暗い裏手で、以前ニリンソウの群落を見たことがある。今年も見に行くとちゃんとあったので安心した。ふと見ると近くによく似ているが一回り大きい白い花が点々と咲いていた。花はそれぞれ一輪だけである。
葉柄が長い葉は3枚が輪生し、複雑に大きく切れ込んでいる。ニリンソウは葉柄がなく切れ込みは弱い。
キンポウゲ科で、例によって5枚の純白の花びらに見えるのはガク片である。そのため花びらにしてはやや厚さがあり裏側は紫色が掛かっている。なお、本来の花びらは退化してしまっている。
この仲間はサンリンソウまであり、そのためわざわざイチリンソウという名前になっている(と思う)。しかし、この楚々としながら堂々とした佇まいはまさに極めつけの「一輪」だ。
初夏には枯れてしまう春の妖精「スプリング・エフェメラル」の一つでもある。