植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

アリアケスミレ

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 白いスミレである。場所は日当たりのよい農道の縁のアスファルトとコンクリートの隙間だ。5,6株並んで咲いていた。

 地上茎を伸ばさず葉が細長い。大きさや特徴はスミレ(種名)とよく似ているが、白い花と太短い距(きょ、後ろに突き出す花の一部)で識別できる。花茎はあまり高く伸びない。開花時期はスミレと同等かやや遅れる。

 花は近づいて見ると紫色の脈(スジ)があるが、全体はほぼ白色に見える。5枚の花弁の内、側弁(両側に出る花弁)と唇弁(下向きの一枚)は脈の色が濃く、少し紫色がかすれて滲んだようになっている。この色の濃淡は個体変異が大きく、全体に紫がかるものもあるそうである。

 「有明」とは夜明けの意味。旧暦16日以降の月が残っている(有る)夜明けのこと。アリアケの名前は、花色の変異を刻々変わっていく夜明けの空(有明の空)に見立てたものだ。「春はあけぼの ようよう白うなりゆく…」の色だ。なんとも雅(みやび)な感覚である。