植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

ヒサカキの花

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 街の至る所にあるのに全く目立たない木である。唯一存在感を示すのが今の開花の時期だ。花は小さく緑がかった白でやはり地味だが、香りが強く咲いているのがわかる。ただしガスに似た硫黄(いおう)ぽい匂いで、やや悪臭に類するものである。暖かい夜などに強く香り、この木を知らない人でも春らしい大気の香りとして記憶されているのではないか。

 もともと日本を含む東アジアの暗い森に生える常緑の小高木。丈夫で耐陰性が強いので、家が建て込んだ都会地でも生け垣などに良く用いられている。

 神事や仏壇のお供えに用いられるサカキ(榊)によく似ているため、サカキの生えない関東以北でその代用として用いられている。サカキとは同じモッコク科。葉に鋸歯(周りのギザギザ)があり、花の形も異なる。名前の由来は、サカキに非(あら)ずということで非榊とか、葉が小ぶりなので姫榊とか、諸説ある。