椿の季節である。サザンカ等との交配により種類が多く、開花時期や花の形などにバリエーションが多い。そこで、原種であるヤブツバキをじっくり見てみたくて古木を探してみた。ネットで調べると近場に有名な場所がある。その名も椿守稲荷(ちんしゅいなり、東京町田市)。
小さな赤い鳥居のお稲荷さんが二本のツバキの巨木に覆われていた。一本は大ぶりの花が三分咲きといったところ。他方の花はまだ蕾だったが、太い幹が一部洞(うろ)になっており数百年たっているような風格だ。江戸時代にツバキ園芸のブームがあったそうだし、人の手で植えられたものだろうから原種とは限らないが、少なくとも最近の園芸種ではないだろう。
花は五弁で雄シベが多い。枝の先に一輪ずつ下向きに咲く。光の感じで白っぽく映っているが、肉眼では深紅に見え、ツヤのある葉との取り合わせはなんともあでやかで妖しい。