植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

皇帝ドミティアヌス

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 以前、古代ローマ帝国プリニウスが著した「博物誌」を取り上げ、当時のコインに描かれたローマ皇帝ヴェスパシアヌスティトゥス)とのエピソードを紹介した。このことに限らず、ローマ帝国の話は大好きだ。今後コインから見たローマ皇帝年代記を自分なりに紹介してみたい。

 

 ドミティアヌス(在位AD81-96)は、父と兄の跡を継いで皇帝となった。彼の治世はまずまず平和で、有能な為政者だった。しかし治世の後半には独裁的となり、ついには猜疑心にとらわれて恐怖政治をおこなった。元老院(貴族階級)とも対立し、最後は暗殺されてしまう。そのため、後世暴君であったという評価を受けることとなった。彼の後にはいわゆる「五賢帝」の名君が続くのでことさらに悪く言われたのだろう。

 画像はデナリウス銀貨に描かれたAD88年頃の彼の肖像である。父親や兄とよく似ている。青年の頃は美男だったらしいが、若くして髪が薄くなり…。(という記録が残っている)そのためコインの肖像はちょっとアヤシイ。父親のヴェスパシアヌス帝はみごとな丸頭だがそのままコインに描かれており、気にしていた形跡がない。息子は器(うつわ)が小さかったのかもしれない。