植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

近場の蛇紋岩

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 神奈川県にも蛇紋岩が見つけられる場所がある。三浦半島横須賀市の海岸だ。そこで拾ったツヤのある黒緑色の石を示す。波で磨かれて丸くなり、表面はツルツルしている。

 前回示した北海道の標本と比べると、白い脈は見えず、柔らかくも脆くもない。しかし、①近辺に蛇紋岩の小岩体が露出しているという報告がある。②全体に暗い黒緑色の濃淡で、うねったシマ模様がある。③ポツポツと結晶(輝石?)がみられる。④重い感触で、強い磁石に引き付けられる。など、から判断した。見慣れた丹沢の緑色岩や凝灰岩の同系統の色のものとは特徴が異なる。同半島立石海岸の黒緑色凝灰質砂岩とは色調はそっくりだが、並べてみると質感が違う。

 蛇紋岩はマグネシウムと鉄のケイ酸化合物で、マグネシウムと鉄の比率は変動する。柔らかいマグネシウムに富む部分が波で除かれ、鉄が多い部分が残ったのだろう。

 藤岡換太郎先生の本によると、日本のはるか南、マリアナ海溝の縁(へり)には巨大な蛇紋岩の海山がいくつもあるとのこと。上部マントルのかんらん岩から変わった蛇紋岩が、何らかの理由で破砕されて大量の水とともに一気に噴き出して堆積したもの(泥火山)と考えられている。

 この蛇紋岩も超過去の海洋プレートでの似たようなイベント由来で、プレートの北上とともに三浦半島にやって来たのだろう。