アオイというと、夏の風物詩、タチアオイ(アオイ科)思い浮かべるかもしれない。しかし、これは真逆で、なんと冬に花が咲く。地味というかやや陰気な感じのする植物だ。特徴から見てカントウカンアオイという種類と思われる。
日本固有種のウマノスズクサ科多年草。葉が冬も枯れないため寒葵の名がある。徳川の葵の紋所の元になったとされるフタバアオイは近縁である。観葉植物のようなハート形の葉は長さ6-7センチぐらい、形や模様にバリエーションが多い。
場所は多摩丘陵の一角で、昼なお暗い雑木林の中だ。今の季節は葉が落ちて少し明るくなり、下草も枯れるのでようやく生えていることがわかる。ただし、よほど気を付けて探さないとみつからない。
葉の根元に地面に接して直径2センチぐらいの小さな花が咲いていた。先が三つに広がった釣り鐘型で赤紫の模様がある。これはじつはガクで、丸い穴が印象的な実にユニークな形をしている。