秋風が吹くと私の好きなホトトギス(ユリ科)の仲間が次々と開花する。場所は町田市薬師池公園の林の中である。近場では珍しいヤマホトトギスという種類だ。花は小型だが大変ユニークな形をしている。
六弁の花びらが大きく反り返り、雄シベ雌シベが上方に高く立ち上がって噴水のように放射状に垂れ下がっている。六本の雄シベの先には葯(やく)が付き、雌シベは三本に分かれた後さらに二裂する。花弁と雌シベには赤紫色の斑点がある。
ウミウシのような海の軟体動物に見えなくもない。しかしユリの花に共通する気品と透明感があり、独特の美しさを感じる。
調べると、人の目には奇異に見える形も、花粉を運ぶハチとの関係を考えると実にうまくできた構造だそうである。
この花を見るといつも連想するものがある。ヒエロニムス・ボスの幻想画「快楽の園」の後方に見える極彩色の噴水?である。ネットで簡単に閲覧できる。生物的でSF的とまで思える点で似ていると思うが、如何であろうか?