植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

ヤブガラシ

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 笹薮を覆って枯らすと言われるほどの雑草。街の至る所に生えているが、近場ではあまり幅を利かせているのは見たことがない。こうみえてブドウ科である。

 変わった花なので以前から気になっていた。

 子供の頃「やいとばな」と言っていた覚えがある。関西ではお灸のことを「やいと」という。黄緑の小さなツボミが集まっており、咲くとポツポツと赤くなるのをお灸の火に見立てたのであろう。

 拡大すると色々な段階の花が見えてくる。調べると次のように変化するとのこと。

 ツボミに十字に切れ目が入って開くと、4枚の花弁が反り返り、中心の白い雌シベのまわりを4本の雄シベが囲む。オレンジ色に見えるのはにじみ出た蜜である。朝に花が開くと、これを狙って様々な昆虫がやって来る。午前中に雄シベと花弁は落ちてしまい、ピンク色の花托(かたく、花の根元の部分)と突き出した雌シベが残る。見たことはないが、ブドウを思わせる実がなるそうである。

 更によく観察すると、様々な大きさの小さな水滴のようなものがついている。これは真珠体と呼ばれるもので、植物由来の栄養体だそうである。アリなどを呼ぶ蜜腺のようなものか。ちなみに、ブドウにも同じものがあるそうである。

 この草の困るところは、地下茎のしぶとさだ。草取りの時は簡単に引き抜けるのだが、少し深いところに地下茎がしっかり残っており、ちょっと目を離すと次々と芽を出してくる。一度掘り返して地下茎の長さと広がりに呆れたことがある。