ソバ畑が満開となった。この畑は広大な斜面に続いており、一面の真っ白な花がみごとである。風向きによっては肥料のような臭いがする。この花本来の香りだそうである。不快というほどのことはないが、もともと救荒作物であったこの植物の地味なイメージそのままである。
これは「秋ソバ」という種類で、11月ごろ収穫する。援農で何度か刈り取りから脱穀までやったが、刈束を抱えて広い斜面を動き回るのでいつも大変疲れる。但し、ソバの実が粉になり、自分で打って食べる蕎麦は格別である。(毎年蕎麦打ちの講習会に参加しているが、未だにきれいに切れない。)
関東地方の山間部の観光地では、祖先形ともいえる素朴なそばに出会える。奥多摩の御岳山の山頂付近にある蕎麦屋では薫り高い独特の蕎麦に感激したし、箱根の強羅ではツユではなく味噌と辛み大根のおろしで食べる蕎麦を堪能した。山の中の痩せ地でも栽培できるために、各地で発達したものなのであろう。
いろいろ思い出していると、おいしい蕎麦が食べたくなった。