大きな葉の下に隠れているので目立たないクズの花。甘い香りと鮮やかな紫色で咲いていることに気づく。そこらじゅうに蔓延っているにもかかわらず、なかなか絵になる花がなかった。きれいだが花全体はちょっと爬虫類ぽい印象を受ける。
クズで思い出すことその1。この甘い香りの成分は、ブドウと同じだそうである。全然違う植物なのに面白い。ちなみにファンタグレープにも使われている香料だ。
その2。思い切り葉を広げて光合成している。できたデンプンは根にためこんでいる。いわゆるくず粉である。
くず粉で作ったトコロテンみたいものに黒蜜をかけて食べるのが「葛きり」。京都祇園の名店「鍵善」で食べたが、とにかく甘かった。案内してくれた女性は「水上勉は二杯お代わりした」と言って薦めてくれたが、私は一杯で甘さで頭が痛くなってしまった。何かの間違いだったのだろうか。
その3。葉など大柄の植物で成長力が旺盛である。時には山全体を覆ってしまい、もとからあった樹木を枯らしてしまう。秋の七草にも入っている由緒正しい植物であるが、ちょっと遠慮願う方法はないものか。