資料によるとキンランに似た白花のギンラン(銀蘭)という種がある。やはり絶滅危惧種である。昨年は、ギンランを探して里山を歩き回った。いくらかキンランが自生して開花しており嬉しく思った。しかし白花は見つからなかった。
キンランは小さく楚々とした風情で、ともすれば見落とすような花である。ギンランはさらに地味と思われるので、目を皿のようにして探したが駄目であった。
しかしその帰り道、偶然ギンランらしき花を見つけた。何と、駅前の団地の植え込みの中である。白花はごく小さく、下の花は咲き終わって実になっていた。スズランみたいだが、葉は明らかにキンランに似ている。あまりにも地味で目立たないが、必死で探した後なので、目についたものと思われる。考えてみると、駅前もかつては里山である。こんなに身近で生きのびていたのだ。しかしこの花は可憐だがしぶとい。まったく、驚かせてくれる。
その3日後、キンランを見た場所に行ってみた。一度見ているせいか、はたまた花期が合致したせいか、今度はギンランを見つけることができた。数本のキンランが咲いているところから少し離れて、清楚にたたずんでいた。蘭の花は5枚の花弁と萼片が中央の花弁を取り巻いているが、ギンランの花はこれらが開いておらず、つぼまった形をしている。色は透明感のある純白である。
ギンランにはよく似たササバギンラン(笹葉銀蘭)という種類がある。どちらもそれらしきものがあった。この画像はおそらくササバの方と思われる。