植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

コケリンドウ

 

 

 

 

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 今年も花の季節が巡ってきた。早春の里山の野草は、小さくて可憐なものが多く、人目につかないが、よく見ると清冽な美があっていつ観ても感動する。これらの花は、咲き続ける路傍の雑草と違って、せいぜい一週間ぐらいで咲き揃って、すぐに実をつけて見えなくなってしまう。春の里山はこのような花が次々と入れ替わる。住宅地の近くの里山や雑木林(の名残)でこのような花を探して歩くのがここ数年の楽しみになっている。

 中でも、他の草木の葉が一斉に芽吹き始めるのに先立って、いち早く芽を出し、花をつけ、あっという間に種を作って枯れてしまう種類がある。「Spring ephemeral」春の儚いものと呼ばれる植物である。前回の画像に用いたキクザキイチゲはその仲間である。葉も花も菊そっくりだが、キンポウゲ科で、普通の菊にはない淡い菫青色が何とも清々しい。東北地方の湿原などに群落を作って咲いているそうである。(この写真は、近場のある野草園で撮ったものである。)

 今回の画像は、昨年近場の谷戸(やと)で見つけたコケリンドウ(苔竜胆)である。春咲きのリンドウはフデリンドウのように草丈が6-8センチぐらいの小さなものが多いが、これは特に小さく、2-3センチしかない。最初はスミレの仲間かと思ったほど小さくて目立たない花である。鬱蒼とした雑木林の中だったので、陽が当たらず不思議であったが、見上げると真上がぽっかり空いて空が見える。これも樹が芽吹けばふさがってしまうだろう。こんな場所であっても、他の植物が入り込めないので競争にならず、小さくても生きていけるのであろう。