植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

アキカラマツの花

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多摩丘陵の日当たりのよい林縁。繁茂する夏草に混じって見慣れぬ花を見つけた。調べるとアキカラマツ(秋唐松、秋落葉松)というキンポウゲ科の植物であった。

 

花に花弁がなく、多数の雄シベがカラマツの葉のようなカラマツソウという植物の仲間だ。花期が夏から初秋(7-9月)であることからアキカラマツという名称になった。ちなみにカラマツは亜高山帯に生える葉が短く落葉する松である。

 

草丈は1mぐらいある。葉は三つの小葉からなる複葉で、径1㎝ほどの小葉は様々な形を取り先端が二、三裂する。(横に見えている葉は別の植物のもの。)

 

球状のツボミが開くと、ガク片が落ちて雄シベが目立つようになる。派手な花が多いキンポウゲ科の中では地味な種類だが、夜空の星、というか銀河を思わせる。独特の雰囲気を持つ花だと思う。

エノコログサ

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これも道端の夏草。日当たりのよい所を好むようだ。画像のように他の草と入り混じっていることもあるが、単独の塊になっていることも多い。ものすごい量の種を振りまくせいであろう。緑一色なので遠目にはわからないが、近づくとすぐわかる。

 

イネ科で雑穀のアワ(粟)の祖先とされている。アワの実物は見たことはないが、実の穂が山盛りになっているらしい。世界中に分布するが、考古学で縄文時代以前には日本に無かったことがわかっており、稲作などと一緒に大陸から雑草として入ってきたらしい。

 

特徴的な長い柄の付いた実の穂は子犬のシッポにたとえられる。そのため「イヌコロ草」が訛(なま)ってエノコログサになったとされる。ネコジャラシともいうのは、猫に見せるとじゃれてくるかららしい。英語ではこの仲間をfox tail grass(狐のシッポ草)といい、やはり動物に関係がある。私は、色は違うがそっくりの毛虫を見て以来、ケムシに見えてしょうがない。

タチスズメノヒエ(立ち雀の稗)

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珍しめの植物が見たいと思って丘陵地の雑木林を歩いてみた。猛暑とここのところの天候不順でひどく蒸し暑い。当然誰も歩いていない。汗だくになり、蚊や小さな虫が寄ってきて鬱陶しい。しかも目ぼしいものはナシ。アブラゼミジージーという鳴き声にミンミンゼミとヒグラシが混じり、季節の移ろいを感じるだけ。あとは夏草が繁茂するばかり…。

 

道端の夏草で目立つのはヒメジョオンなどを除くと、ほとんどがイネ科のものだ。オヒシバ、メヒシバは分かるが、他はみな似ていて見分けがつかない。そんな中で背が1.5mほどと高く草むらから穂を突き出しているものがあった。珍しいものではないが調べてみた。

 

南アメリカ原産のイネ科植物。近縁のスズメノヒエは穂の枝分かれが3~4本だが、これは10~20本と多いのが特徴。個々の副穂は若いうちは雄シベの葯で白く見え、実が成熟したものは茶色っぽくなる。

 

ヒエ(稗)は最近では健康食品などに使われているいわゆる雑穀類である。役に立たないヒエという意味で「スズメ(雀の)」が名前に付いている。穂が直立するので「タチ(立ち)」というが、成熟すると垂れてくるようである。

 

道端の雑草でも名前が分かると嬉しい。

真夏の黒い花

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シュロソウの花だ。実際は画像のように濃赤紫だが、生えているのが暗い雑木林の地面なので遠目には黒く見える。拡大すると6枚の花弁が二重の色彩でなかなか良い。黄色い雄シベがアクセントになっている。

 

シュロソウ科。少し前の資料ではユリ科となっていた。確かに花を見るとユリ科といわれると違和感がある。根茎は有毒なので注意。

 

深い縦ジワのある葉は長さ30㎝、幅3㎝以上あり、かなり大きな株だ。根元から1m弱の花茎を何本も伸ばして、径1㎝ぐらいの花を多数つける。

 

名前の由来だが、シュロ(ヤシノキ科)は知っているだろうか。昔は街でもよく見かけた、先端に扇状の葉を付けた背の高いアレである。シュロソウの葉は枯れて腐ると繊維が付け根に残る。これがシュロの葉の付け根の茶色い繊維と似ているとのことである。

暑苦しい花

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画像はヘクソカズラの花である。拡大するとなかなか個性的で迫力がある。しかし名前を思い出すと一瞬鼻先を匂いの記憶が通り過ぎる。触らなければ臭うわけではないが、見る気が失せる。後に残るのはジリジリ焼けるような真夏の陽射しの印象だけだ。

 

梅雨頃、気候がムシムシし始めると、様々なところでフェンスなどにこの草のツルが這い上がる光景が見られた。細長いスペード型でツヤのない葉である。伸び方が異常に早く、あっという間にフェンスのてっぺんまで伸びて横に這い、花を付ける。

 

ブログに挙げようとツルの画像は撮っていたが、街中でもあまり多いので面白くも何ともない。暑くてどうでもよくなって、しばらく放っておいた。

 

他に暑苦しいと思うのは、ヤブガラシの花だ。見かけるとアブラゼミジージーという鳴き声が聞こえる(あくまでイメージです)。

ヨウシュヤマゴボウの花

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猛暑のなかここ数日雲が多く通り雨がある。蒸し暑くなるだけなのでやり切れない。画像は水滴が残るヨウシュヤマゴボウの花だ。近づいて見ると結構ユニークな形をしている。

 

漢字で書くと洋種山牛蒡。北アメリカ原産の帰化種で別名アメリヤマゴボウだ。私は子供の頃からこちらの名前で憶えていた。草むらで2mもあるような大柄でゴツイ感じの姿が目立つ。

 

太い根がキク科のヤマゴボウモリアザミ)に似ているそうだが、ヤマゴボウ科。花を見ると全く別物であることが分かる。5枚の花びらに雌シベ雄シベが各9~12本ある。緑色の和菓子のような形の子房はすぐ膨らんで、濃い赤紫色になる。この実は簡単につぶれる。色が服につくともう取れない。

 

草全体に毒があるのでうかつに触れない。そういわれると白い花穂が赤紫に染まっているのも毒々しく見える。実は鳥が食べて(大丈夫?)種を運ぶのか、街中でとんでもない所に生えているのを見かける。

日陰のヤブミョウガ

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台地に切れ込んだ谷を残した公園。奥に湧き水があって谷底は湿地のようになっている。頭上は高い木に覆われていて全体に暗く、いつもヒンヤリしている。猛暑の中、涼を求めて行ってみたところ、ヤブミョウガの群落に出会った。

 

群落はヤブミョウガ単一。画面外にも広がっているが、カメラを引くと花や葉の特徴が分からなくなる。直前に通り雨があり、濡れて乾ききらない葉の緑と光の反射が鮮やかである。谷底がこの花で埋め尽くされていると、なかなか見ごたえがある。

 

確かに葉はミョウガにそっくりだ。ただしツユクサ科で、ミョウガはショウガ科である。花の造りが全く異なる。

 

この花は咲き始めの今頃が一番スッキリして美しいと思う。涼し気な「日陰の花畑」だ。この花は夏中咲き続けるが、もう少し花が進むと花ガラや実が混じってきて見栄えがしなくなる。

 

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