植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

コゲラ(小型のキツツキ)

住宅街のマンションの前。玄関のアプローチにシンボルツリーというのだろうかアカシアの木が植えてある。今日見ると周囲に木くずのようなものが散っている。なんだろうと思って見あげると、3~4m上の方に小さな生き物がチョコチョコ動いている。木に開けた穴が見える。キツツキだ!

 

大きさはスズメくらい。寄っていくと上に逃げるのであまり近づけない。私のデジカメのズームではこの辺が限界だ。しかも逆光。画像の明るさを変えてようやく羽根の模様が見えた。濃い茶色に白いまだらの横スジがあり、図鑑によるとコゲラという種類のようだ。キツツキは今まで何度か見たことがあるが、街中で見たのは初めてだ。調べると、本来は山林に住んでいるが、近年は都市部にも生息域を広げているとのことだ。

 

盛んに木をつついて穴をあけており、ココココという音が聞こえる。この木はつい先日まで黄色い花が咲いていたが、葉がほとんど付いておらず、もう枯れそうである。弱った木なので穴を開けやすいのかもしれない。

オオキンケイギク

もう一月ぐらい街のあちこちで鮮やかな山吹色の花がみられる。生えていたのは郊外のマンション群にある建設予定地?の空き地だ。ほかには街中の川の護岸などにも群生していた。とにかく開けて明るい場所を好む植物である。夏中咲き続ける。

 

大金鶏菊と書き、一説では花色と花びらの形を金色のニワトリのトサカに見立てたものという。花びらの数が多く、先端がいくつにも割れてギザギザしている。ちょっと荒っぽい花の作りだ。よく似たキバナコスモスは形が整っていて、花びらの数は8枚、先端のギザが小さい。

 

アメリカ原産。草丈は50~60㎝。花壇にも植えられるが逃げ出して野生化している。華やかで景色としては良いのだが、丈夫で繁殖力が強く在来の植物を追い出してしまう。そのため特定外来生物に指定され栽培等が規制されている。

ザクロの花

街中でも庭木としてよく見かける。ザクロは果物の一種だが、私には子供のころに食べて酸っぱかった記憶がある。もっぱら観賞用のものではないか。花も実も個性的で、強烈な印象を受ける。

 

樹高は5-6mになる。今頃、枝先に直径5㎝ぐらい朱赤色の花を付ける。花弁は6枚で、紙をクシャクシャと丸めてから伸ばしたような感じだ。花後は六裂したガクの根元が膨らんで直径5㎝くらいの球状の実になり、10月ぐらいに熟れると、不規則に割れて中から淡紅色の種皮に覆われた種が顔を出す。花も実も整った形ではないところに独特のアジがあって目を楽しませてくれる。

 

ミソハギ科。小アジア(トルコ付近)~ヒマラヤ原産。人類とのかかわりは非常に古く、古代エジプトギリシア神話にも登場する。日本へは平安時代に中国から伝わった。そのため、ザクロの名前は漢名の「柘榴」の中国語の発音から来ている。

ニワトコの実

多摩丘陵の雑木林の縁で見つけた木の実である。今の時期、緑の木の葉が茂る中で、ツヤのある赤い実が多数集まっている様子は鮮烈な印象を受ける。

 

花は春3-4月で、大きな花序に白い小さな花を多数つける。葉は対生し、奇数羽状複葉。葉の付いた枝のように見えるのが一枚の葉で長さ30㎝ぐらいある。果実は径3~5㎜の球状。わずかに沈んだ赤色が美しいが食べられない。

 

新しいAPG分類ではレンプクソウ科になる。耳慣れない科名だが、旧スイカズラ科(ニワトコが属していた)やガマズミ科が含まれる。日本全国、東アジアに分布。山野に普通に見られる低木である。高さ3mぐらいであまり大きくならない。

 

民間薬として栽培に古い歴史があり、昔から庭に植えられた。名前の由来は庭に常にあるという意味で「庭常(ニワトコ)」である。別に漢字で「接骨木」とも書き、骨折の治療に使われた。色々役に立つ植物とのことだ。

テリハノイバラ2022

近場の野バラの中では一番遅く、大型の花を咲かせる。径4㎝程もある。今年も開花シーズンがやってきた。日本に自生するバラの原種の一つである。華やかな栽培種にない素朴な風格が漂っていて好きな花である。

 

花びらの質がもろくて壊れやすく、本来のハート形のものはほとんどない。雑木林の縁などで他の植物に交って生えている。日当たりが良くないせいか花は小型で形も良くない。この花はたまたま崖から突き出していて条件が良かったようだ。

 

日本の本州以南と東アジアに自生する。葉は小型の奇数複葉で、大体9枚の小葉からなる。葉は濃緑色で著しい光沢があり、テリハ(照葉)の名の由来となった。根元から出たツルはほとんど枝分かれせず地を這って長く伸びる。

雨に咲く花?

梅雨入りしてから肌寒い雨の日が続いている。近所を歩いていたら空き地の草むらの中に奇妙な花のようなものを見つけた。四弁で径1㎝ぐらい。枯葉のような色をしており、赤っぽい緑色の茎に沿って並んでいる。よく見るとあたりにたくさんある。

 

一部に花が残っており、ユウゲショウの花後と分かった。あの赤紫の可憐な花だ。春の長い期間咲き続けて目を楽しませてくれた。

 

調べるとこれは実である。本来、楽器のマラカスのような形をしており、熟すと茶色になる。硬いが、雨に当たると4つに割れて花のように広がる。中には細かい種がつまっている。画像のものは全部放出した後のようだ。梅雨時のまとまった雨を利用して種を散布するわけか。通り雨だけなら固まってしまうだろう。

 

晴れるとまた閉じるとのことなので、雨がやんで薄日が差したとき見に行った。皆ちゃんと閉じている。見る人もいない梅雨時の草むらの中での面白い現象である。

 

ヤマザクラのサクランボ

4月に満開の花で楽しませてくれたヤマザクラ。今は葉桜になっており、サクランボができていた。そういえば山形県のサクランボも今頃だ。ずっと小さいが楽しくなる瑞々(みずみず)しい色合いは同じである。薄黄色→橙色→赤→濃い紫色と変わっていく。大きさはいろいろあるように見えるが遠近法の錯覚で、径7,8㎜でほぼ同じだ。

 

咲いた花の数よりずっと少ないのは、鳥に食べられたからだろう。その結果消化されない種があちこちに運ばれることになる。春の一時期、野山がところどころピンク色に煙るのはこうして分布を広げていくヤマザクラが咲いているのである。

 

サクラには自家受粉できない性質がある。ヤマザクラはよく見ると木によって葉や花に個性がある。交配による多様性が自生して生きていく上で重要なのだろう。一方ソメイヨシノは作出された品種で、すべて同一クローン(遺伝子)なのでサクランボはできない。たまに間違えたようにできていることがあるが、別種との交配によるもので、種は雑種になってしまう。そのためソメイヨシノの木があればすべて人為的に植えられたものである。