植物(花)や岩石鉱物など大地に根差した自然のものは何でも好きです。また人為であっても古いものには興味があります。東京都と神奈川県の境界ぐらいの郊外都市に在住。周辺の市街地と多摩丘陵を中心として、近場に残された自然を探検しています。時々丹沢山地、相模川流域、三浦半島などにも足を延ばしています。

テイカカズラの実、種、幼木

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かしのき山自然公園(東京町田市)にテイカカズラの大きな株がある。2mぐらいの架台がしつらえてあって、びっしりと絡みついている。自然のままだと絡みついた木を枯らしてしまうだろう。花期の6月頃は香りの 良い白い花でいっぱいになる。

 

キョウチクトウ科のつる性の木である。常緑の葉は長さ3~7㎝の舟型で、ツバキを思わせる厚みとツヤだ。たまに真っ赤に紅葉した葉が付いている。

 

今の季節は何もないと思っていたら写真を撮っている人がいる。近づいてみると「テイカカズラの実だよ」と教えてくれた。葉と同じ緑色なのでわかりにくいが、10~20㎝ぐらいの先の尖ったチューブ状のものがある。さらに目を凝らすとそれが茶色に変色して裂け、白いものが飛び出している。大きなタンポポみたいな綿毛の付いた種だ。そうかとんでもないところに生えているのはこうして種を飛ばすためか。

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改めて周囲を見ると足元にたくさん幼木が生えていた。以前紹介したが、テイカカズラの幼木は成木とは別種かと思うほど似ていない。葉は1~2㎝で葉脈が白くクッキリと目立つ。

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街中でもたくさん見かける。これまで気が付かなかったが、目が慣れたのか生け垣などでいくつも実を見つけた。

ヒイラギモクセイの花

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秋が深まって寒風が吹き始めると、サザンカなどを除いて街の木の花も寂しくなってくる。街を歩いていて生け垣に白い花が咲いているのに気が付いた。ヒイラギモクセイ(柊木犀)だ。クリスマス(もう来月だ!)のシンボル的なヒイラギ(柊)とはちょっと違う。

 

モクセイ科モクセイ属。同属のギンモクセイ(銀木犀)とヒイラギも同じような白い花だ。ヒイラギモクセイはこれらの雑種(ハイブリッド)と考えられている。なお香りの強いキンモクセイ金木犀)はギンモクセイの変種である。ヒイラギモクセイにも似た香りがあるが近づかないと感じない程度だ。

 

3種類とも街で見かける。見分け方は、ヒイラギの葉はご存じのように大きな鋸歯(葉の周りのギザギザ)の先が痛そうなトゲになっている。一方ギンモクセイの葉には鋸歯がない。ヒイラギモクセイは中間で、ヒイラギより大きめの葉に鋸歯というよりは直接トゲが付いている感じだ。トゲが防犯に役立つのと、丈夫でむやみに大きくならないのでよく生け垣などに使われている。

 

雌雄異株で雄株のみが知られており、結実しない。もっぱら取り木(枝の途中にミズゴケなどを巻いて根を出させ、切り離して植える。)で増やす。花は径1㎝弱で枝の途中に丸くかたまって付く。花弁は4枚に分かれて2本の雄シベが突き出しており、中心に退化した雌シベが見える。拡大すると花束のようだ。

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晩秋の木の実2021

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多摩丘陵にある大学の一角に、住宅地に囲まれて広い雑木林がある。ササ刈りなどの手入れがなされており、四季折々にかつての里山の植物が見られる。もちろん網フェンスで囲われているが、裏道にいわゆる林縁(りんえん)の植物が大きくせり出しており、散歩しながら観察できる穴場である。そこで見つけた木の実を4件ばかり。

 

ムラサキシキブ(最初の画像):いい感じに傷んだ葉が黄葉して、紫の実とのコントラストが美しい。街で見かける園芸種のコムラサキほど目立たないが、近場の丘陵地では多い小高木である。

 

ガマズミ:赤い色がパッと目を引く。1か月以上前から色づいているのだが、鳥などに食べられた形跡がない。まだ完熟していないのだろうか。

 

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シラカシ:雑木林を構成する主要な植物で、大木である。紅葉はしないが、根元の地面は落ちたドングリでビッシリと覆われている。いつも不思議に思うのだが、これだけ落ちているのにいつの間にかきれいに無くなっている。イノシシが好むそうだが、この付近はいないと思う。野ネズミなど小動物が食べるのか。探すとごくわずかだが芽生えているものはある。

 

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ノイバラ:この場所のものは鳥に食べられたのかほとんど実が残っていなかった。画像は相模川河畔の林内に生えていたもの。ノイバラは白い花も良いが、赤い実もなかなか美しい。

 

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ツタが描いた絵

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朝、駅で電車を待っていたら、向かいの白いフェンスにツタがツルを伸ばしていた。変わった模様だったので写真を撮った。隣で待っていた人は何を撮っているかわからないようで、変な顔をしていた。電車が来たのでそそくさと乗った。

 

どうです、遠くの山のように見えませんか。水墨画みたいなタッチでなかなかシブイ。主脈から長い支脈が横に多数出て一旦上がってからなだらかに垂れていく。脈ごとに同じぐらいの大きさの葉が並ぶ。ちょうどツタの葉が赤くなりかけていて題名「紅葉の山」といった感じだ。

 

ツタ(蔦)はブドウ科ツタ属のツル性木本である。ツルの先端の巻きひげが強力な吸盤になっていて、垂直の壁でも平気で這い上がる。名前の由来は他の植物などに「つたって」伸びるからだそうである。英語でアイビーというが、ウコギ科のキヅタ類をさすことが多い。

 

童謡・唱歌の「もみじ」に、「…楓(かえで)や蔦(つた)は、山のふもとの裾もよう。」とある。その風景を、ツタ自身が描いているようで面白い。

街中のコガモ

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いつもの住宅街の川。両岸に人通りが多いのに水鳥が多く集まる。先週短時間だが豪雨があり、かなり増水したので心配したが、カルガモたちは無事だったようだ。かえって澱(よど)みが一掃されて水がきれいになったように感じる。

 

見ると新顔がいる。コガモだ。日本のカモ類の中で一番小さいのが名前の由来とのことだが、カルガモなどと一緒に泳いでいてもそんなに小さい印象はない。早めにシベリアなどから飛来して越冬し、春に子育てをする。植物食で、今は群れで川に首を突っ込んで水草などを食べるのに夢中のようだ。

 

オスは頭が栗茶色で、目の周りから後頭部にかけて緑色の縞がある。身体は灰茶色をしており、羽根の先にチラリと緑色が見えている。この緑色はいわゆるメタリックグリーンで、鮮烈な印象がある。一方メスは全体に褐色で黒い斑点がある。やはり羽根先に緑色の羽根がある。

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もう少し近寄れればよいのだが、私のデジカメのズームでは画質はこの辺が限界だ。よく動く鳥で、なかなかちゃんと撮れなかった。

ゴウシュウアリタソウ(豪州有田草)

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研修農園では玉ねぎの苗の植え付けが終わり、大根などの秋冬野菜の収穫が始まった。

 

画像は収穫が済んだ野菜の跡地にすぐ生えてきた雑草だ。小さい草で葉はせいぜい5㎜ぐらいしかない。地面にへばりつくように放射状に広がっている。全体でも径4~5㎝しかないのにもう粒々の花(実)を大量に付けている。

 

アカザ科もしくはヒユ科(APG分類)とされる。春先から今頃までよく見かけた。極小の双葉から丸っこい葉を出す。成長すると葉の周りのギザギザが深くなり、茎も立ち上がって様変わりする。この性質のため長い間名前が決められなかった。

 

花は極小で目立たない。オーストラリア(豪州)原産の侵入植物。「ゴウシュウ」が名前に付いた植物は珍しい。類縁のアリタソウが、駆虫薬として佐賀県有田町で栽培されたためこの名がある。

 

ウチの農園では除草剤など使わないので、栽培は雑草との戦いになる。雑草取りは種を付ける前にするのが効率的なのだが、この草は発芽から3週間ぐらいから種を作り、地面に落ちるとすぐ発芽する。小さいが手ごわい奴である。

白いミゾソバ

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相模川の河原には護岸との間に水が溜まってところどころ湿地帯のようになっているところがある。そこに大きな群落を作っていた。遠目には白くしか見えないジミな花である。

 

よく見ると花の先端がちょっとだけ薄紅色に染まっている。私には和風の感じがして、お白粉と口紅を付けた京人形の童女が連想される。なんともカワイイ。以前別の場所のものを紹介したことがあるが、その時は薄紅色が強くずっと華やかな印象だった。色づき方に結構幅があるようだ。

 

タデ科一年草。日本全国と東アジアに分布。葉が「ウシノヒタイ(牛の額)」と呼ばれる独特の形をしているので見分けられる。花は開いても径5㎜ぐらい。ただしタデ科の特徴で花びらに見えるのはガクである。

 

田畑の用水路周辺など水辺に群落を作っていることがある。溝の周りに多く花がソバのものに似ているので「溝蕎麦」である。かつては溝の周りをびっしり埋めていただろう。今はコンクリートで固められてそんな環境もなくなってしまった。

 

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