これも秋に咲く野菊の代表的なものだ。外周の舌状花は淡い紫色で、中心部の筒状花の黄色と鮮やかなコントラストをなしている。
結構目立つのに、この花は私には地味な印象が強い。今頃は道路際などで泥をかぶっているのをよく見るので、イメージが薄汚れてしまったのか。また、花弁が整然と並んでおらずやや反ってヨレた感じなのも、歯並びが悪いようで点数が低くなる。
しかし、この花の色は私の好きな菫青色(スミレの青)と黄色なので、群落になってたくさん咲いているのを見ると嬉しくなってしまう。
秋が深まってきた。里山公園を歩いていると、ススキ原の中に点々とこの花が咲いていた。この赤紫色は遠目にも目立つ。よく見ると細い雄しべ?が放射状に突き出しており、その先に花粉のようなものが見える。ユニークな花である。春咲きのノアザミより小ぶりの花だ。
キク科で、花が終わった後は綿毛状になる。子供の頃父から「この中にいる蛆みたいな虫(蜂の幼虫?)が絶好の釣りえさになる」と教わった。やってみたかったが、残念ながらまだ実現していない。
しかし油断してはいけない。葉を見ると鋭いトゲがある。うかつに触るとひどい目にあうだろう。オニアザミ(鬼薊、外来種?)という種類も見たことがあるが、全草トゲだらけで大きく育ち、怪獣みたいだった。それに比べればかわいいものである。
人づきあいが不器用で、つい傷つけてしまう人が、自分のことをアザミにたとえることがある。大丈夫、蜜があることを知っている蜂やら蝶やらが来て、変なものが寄ってこないだけと思う。
近場のススキが原にナンバンギセル(南蛮煙管)を見に行った。ススキの根に寄生する植物で葉がなく、独特の妖しい花の色、形である。現在は盛りを過ぎていて、枯れかけの状態だ。下の花は花びらが落ちてしまって雌しべが露出している。
例年ススキが伸びてくる秋口から咲き始める。今年こそ盛りの時に見に行こうと思っていたが、暑さや天候不順で億劫になり、遅れてしまった。
寄生植物と言えば、葉緑素の全くない純白のギンリョウソウを見たことがある。幽霊花と呼ばれるようにちょっと怖い感じで、見てはいけないものを見てしまったような気がしてすぐにその場を離れた。その場所も開発されてしまって今はない。
このナンバンギセルの生えているところは住宅地の中の緑道のような場所である。環境保全地域に指定されており、地元の自然保存会もあるようなのでとりあえず安心だ。寄生共生も含めて複雑に絡み合い、長年培われた近場の自然である、大事にしていきたいものだ。
萩の花が近所の民家の庭から張り出していた。後ろのフェンスが気になるが、接写するとなかなかきれいである。
萩の花、尾花、葛花、撫子の花、女郎花また藤袴、朝貌の花。秋の七草の筆頭は萩である。尾花(ススキ)と葛花(クズ)は既に紹介した。なお朝貌(アサガオ)は桔梗(キキョウ)のこととされている。どの花も日本的な風情があってなかなか良いと思う。
秋のお彼岸につきものの「おはぎ」は萩の花に由来しているそうである。理由は諸説あるが、萩の花をアンコを作る小豆に見立てたという説が尤もらしい。花の大きさと赤紫がかった色が似ていると思う。
昔は、キチョウという少しくすんだ真っ黄色の小さな蝶がよく一緒にいた。どうも食草にしているらしい。
しかし、自然に生えている萩もキチョウも長い間見たことがない。秋に里山や低山を歩くと必ず咲いていたものなのだが。今度近場で探してみようかと思っている。